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小林よしのり
2023.8.7 08:54日々の出来事

民俗学を描かなかったのは失敗だった

ジャニーズ問題の日本人のイカレ具合を見ていると、日本人は
江戸時代以前の日本の歴史を全く知らないということに気付いた。
わしは「新しい歴史教科書をつくる会」の活動をしていた時に、
あまりにナショナリズムからの観点に特化しすぎて、網野善彦や
柳田國男などの民俗学を無視しすぎていた。
民俗学は国家を相対化させる左翼の学問だという偏見を持って
いた。

だが、ジャニーズ問題を見ると、江戸時代までは日本人は
男色文化が浸透していて、特に少年を性の対象にする文化が
普通だったということを、誰も知らない。

フランシスコ・ザビエルが日本に来た時に、庶民の男色文化
に怒り狂ったのだが、それを庶民に話しても、げらげら
笑っていたのだから、キリスト教文化と日本の文化は天と地
の開きがある。それほど常識が違っていたのだ。

女人禁制で男の人数が圧倒的に多ければ、あぶれた男は美少年
に手を出すようになってしまうのだ。
このような庶民の文化、庶民の感覚を、日本人はもう誰も
知らない。
わしが70歳にもなって、このことに気付くとはあまりに遅い。
今から民俗学的な視点からの日本の歴史を描かねばならない
のかもしれないが、もう間に合わないだろう。

キリスト教的「純潔」主義は、なんと自称保守の間にも、統一
協会によって伝播されてしまったから、自称保守はLGBT反対
になってしまう。
あいつらはもう日本人ではないのだ。

ところが左翼だって人権真理教の浸透で、キリスト教的な
性感覚に陥っているから、少年愛には嫌悪感しか持たない。
左翼は少数派に加担するから、LGBTまでは認めるが、少年愛は
犯罪としか思わない。
わしだって、少年愛には嫌悪感を覚える人間になってしまったが、
それが何の影響なのかを知っている。

ジャニー喜多川にヒステリックなまでの嫌悪感を抱かないのは、
日本人の歴史を知っているからで、北公次や豊川誕の昔から
ジャニー喜多川の性癖は有名だったのに、我が子をジャニーズ
に入れたがった親の感覚も、好意的にとれば、江戸時代までの
日本人の感覚を継承していたからだろう。

「知らなかった」というのはおかし過ぎる。
現代のファンの少女の間でも有名だったのに、それでも親が
「知らなかった」というのは、もはや自己責任であり、あとは
本人が嫌だったら逃げるしかなかった。

枕営業的に受け入れていたから、成功しなかった自分への
慰めとして、死者に鞭打つ道を選んだのだろう。
慰安婦もそうで、親に売られたことを認められず、自己肯定
するには日本軍を悪にして、被害者になるしかなかったのだ。

人間の心理は複雑である。
日本人の歴史を知らず、キリスト教的人権感覚でしか見てない
国連人権委に、裁かれることは、フランシスコ・ザビエルに
裁かれているようなものだ。
日本人は、明治以降、強烈に劣化したのである。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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